日本で離婚する夫婦は年間約25万組,そのうち88%は協議離婚です。残りの12%の3万組が,調停や裁判離婚として家庭裁判所で争われるのです。そのうち弁護士が調停離婚や裁判離婚に関わるのは25%程度、つまり調停離婚も裁判離婚も弁護士をつけないでやることは可能です。特に調停は話し合いがベースなので、弁護士をつけないでやる事件のほうが多いです。でも弁護士をつけたほうが安心で楽なことはもちろんです。これに対し、裁判離婚は、訴状や答弁書等書面を書かないと行けないので、弁護士をつけないと自分の権利を守ることは難しいでしょう。
それではどういう場合に弁護士をつけた方がいいのか具体的にしてみましょう。
例えば裁判官や調停委員が相手の言い分ばかり聞いて自分の言うことを聞いてくれない。裁判官や調停委員が自分の納得できない解決策を押しつけてくる。裁判所から弁護士をつけてみたらどうかと言われた。離婚原因の主張が難しくて(例えば不倫の有責配偶者側)弁護士に頼んだ方がいい場合。財産分与が複雑-例えば年金や退職金(含む保全仮差押手続きも取る)を対象に含めたい場合。自分は性格的に精神的に不安定なので、法律の専門家にサポートしてもらい、精神的に安心して手続に望みたい場合などに弁護士を頼むことになるのでしょう。
※ ちなみにこの思考方法は,離婚問題に限らず,自分が行き詰まっているときの悩み解決方法として,他の問題に対しても応用できます。まずは頭の中でぐるぐる巡っている未解決の諸問題の中から,一番自分が大切にしたいことは何なのか一つだけピックアップします。あとはそれを柱にして他の問題を解決していくのです。そうすると最悪の選択はしないで済むようになると思います。参考にしてみて下さい。
最近感ずることは,男女を問わず離婚トラブルにより,当事者双方の心が病んで精神的に参っているケースが多いことです。心療内科に通いながら,離婚に向けた解決を探ることは珍しくはありません。裁判所に来るのがトラウマになりイヤだという方もいます。そうなると依頼者の心の安定がとても大切な問題となります。
弁護士も心理カウンセラーのように,どうすれば,依頼者にできるだけ平穏な状態が訪れるか常に気配りすることが大切です。
最近多いDV(夫婦間家庭内暴力)被害者ではそのことが顕著です。DVでは加害者を極度には追い詰めないこと,他方で警察による解決をいつも考えておくことも大切です。
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